きものお手入れ取材日記

先日になりますが、当店がお取引させていただいております着物加工業の

自社工場へ伺うことに。

この度、きものお手入れパンフレット作成のためカメラマンと帯同して

撮影取材方々行って参りました。

 

社員研修などを含めて定期的に伺っているものの、数年ぶりに工場内で

実際の作業工程を見ることはいつものことながら勉強になることばかりです。

 

 

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【洗い張り】

洗い張りとは、きものを解いて水と専用溶剤で洗う方法。

 

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生き洗いでは落とすことのできない汚れを落とし、繊維の奧まできれいにすることで

生地の風合いもよみがえります。

「色柄がくっきりする」「ふんわりした風合いで着心地がよみがえる」という効果が

あります。

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〈洗い張りの手順〉

❶と き・・・きものを解いて仕立て前の状態に戻します。

❷はぬい・・・解いたきものを縫い合わせ反物の状態にもどします。

❸水洗い・・・絹にやさしい水溶性の専用洗剤でブラッシングすることで

       繊維の奥に入り込んだ汚れを落とします。

❹すすぎ・・・気泡の出る水槽で、汚れと洗浄成分を洗い流します

❺乾 燥・・・乾燥機の後、乾燥室で水分を完全に除きます。

❻湯のし・・・水を通すと絹織物は縮むため、蒸気をあてながら丁寧に生地の

       幅を整えます。

 

 

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【生き洗い】

生き洗いとは、仕立てた状態のままクリーニングをする方法。

油性の溶剤を使い、化粧品や皮脂汚れなど日頃の汚れを落とします。

洗い方には細心の注意を払い、色落ちがしやすい草木染めは摩擦がないように

手作業で押し洗いを。

また、薄く繊細な生地は刺激の少なく、経験豊富な職人が一枚一枚判断をして

大切に洗います。

 

〈生き洗いの手順〉

❶下洗い・・・手作業で全体に油性溶剤を付けます。

       衿、袖口、裾などを含めた汚れのつきやすい場所には

       専用溶剤で丁寧にブラッシングして汚れを落とします。

❷全体洗い・・・きもの専用洗い機に入れ、油性溶剤で洗います。

        きもの専用洗い機はフィルターが内蔵されているものを使用。

        洗濯しながら溶剤をろ過するので、きものに接する溶剤は

        常にきれいな状態が保たれています。

❸脱 液・・・生地の厚さや使われている友禅、刺繍、金彩などに合わせて

       時間を選んで脱液。

❹乾 燥・・・乾燥室で時間をかけて乾燥。

❺乾 燥・・・きものに最適なかつ負担をかけないように乾燥室で水分を

       完全に除きます。

 

 

 

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【黄変処理加工】

汗シミなどが原因の、最も多いきもののトラブル

汚れや汗などが乾いて酸化することで発生するトラブル。

汚れから変色した箇所は大半がシミ抜きでは落ちきりません。

黄変箇所を部分的に薬品を付け替え漂白処理した後、再度色足し、柄足しをする

熟練の技が求められる仕事です。

 

 

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【ガード加工】

ガード加工とは、きもの生地に撥水加工を施すもので、繊維一本一本に

専用ガード液を染み込ませるため、絹の繊細な風合いを損なうことはありません。

水や油をはじくとともに汚れが落ちやすくなり、シミのもとになる水や汚れを

防ぎながら、保管中のカビ付き防止にもなり快適にお召しになられることが

できます。

 

 

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その他、シミ抜き、色ヤケ処理、染め替え、柄足し加工など、きもののお手入れ

工程をしっかりと取材。

11月頃には、きものお手入れパンフレットができ上がってくる予定ですので

是非ともお楽しみにしていてください。

 

 

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