別誂の絽綴なごや帯

今年の2月に京都で開催されました、川島織物の夏物新作発表会の際に
図案を起こし制作を依頼した絽綴名古屋帯が出来上がってきました。




絽綴なごや帯「白銀杢地 観世水文」 川島織物制作 宮川呉服店創作品




手織りの絽綴地は白色をベースに銀糸が織り込まれているために、
締めて頂いたときの微妙な角度によって「動き」が生まれ、格調の
高さとともに品物の良さが必然と表されています。




意匠は淋派から「観世水文(かんぜみずもん)」を線書きに大胆に、
それでいて水の中の表現を、織りと刺繍また銀箔の砂子を用いて
繊細に表現しました。



「白地に銀」をベースにあえて色を多く用いずに、観世水のポイントに
なるところのみに爽やかな水色を挿し色に使い、より涼感を出しています。




合わせるきものは色無地から附下、軽い訪問着といったところで主に
フォーマル中心に創作しました。





今回の制作は期日も短いということもあり、図案意匠の調整と配色など
全体の下絵などをPCメールでのやり取りとなりました。




    

図案段階でのお太鼓部分。  図案段階での前(ハラ)部分。




図案ではあくまでも平面的な下絵の段階ですので、織上がりの立体感や
実際の絽綴地に上がる柄付け具合は違ってきますが、そこを要望通りに
織り上げる技術が川島織物にはあります。



とはいえ、全てが要望通りの100点で織り上がる訳ではなく、過去には
「もう少し柄をこうしてをけば・・・」など唯一無二の満足いく商品を
創るのにはやはり難しさがつきもの。



今回の「観世水」は当初の図案段階の写真と出来上がりの作品を見比べて
頂ければお分かりになるように、水の中に差す「水色」の部分の割合が
実際の作品よりも少ないことが焦点になり、このまま進めると実際に
織り上げる白銀杢地の絽綴の生地にグレーと銀上げが主になり、
中喪服に合わせるようなただ地味な感じにならないよう、またもう少し
清涼感を出すようにと制作前に川島担当と何度も打合せをしたものです。



6月下旬のひとえ時期から盛夏を通し爽やかな、なごや帯が出来上がって
参りました。




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