主張総括

久しぶりの北見は思いの外、気温も劇的に寒くもないどこか拍子抜けした
残念感ですが、まあこれでひどい冷下ならばぐだぐだ言うのでしょう。

1月末から2月にかけての出張先では夏物、春物、新作の袷ものと多種多様
目移りがするくらいの品々を拝見でき、新作をめっきり創らなくなったと
いわれる室町界隈でも、まだまだ捨てたもんじゃないと、心ときめく
気持ちと安堵する自分がいます。

自分の性格は分かってはいるつもりですが、新作だからというこを
抜きにして自分の好みに合うもの、また図案センスそして色遣いが
良いものを見るとこれはひとたまりもありません。

いつもは渋く頭の中で計算をしながら伺う制作、仕入れの旅も今回は
ついつい甘くなるぐらい、満足をして思いの品を定めて戻ることが
出来ました。

昨今なおのこと私が製造メーカー、問屋などに仕入れ（自分のもの創り以外）
にて新作といわれる発表会に伺っても、本当に心ときめく「ああ、いいな」と
思う商品が少なくなっております。

それは特選といわれる高額な商品であっても、低価格の量産品であっても、
はたまた人間国宝だからといっても、意匠や色遣いなどがどこかピンとこない
また、しっくりこないとおぼろげに感じておりました。

私はいち小売店店主であり、手広く支店を持つ量販店ではありません。
自分の好んで信じた商品を自分を始め社員さんたちからひとつひとつ
身を以てお客様にお伝える機動力が命でありそのことが生命線なのです。

今回の発表会ではその特色を生かした染め屋、織屋などに加えて
制作側で同世代の若い店主ともたくさん出会い、夜は夜にて熱意を
ぶつけながらこのきもの業界のことを語らせて頂く機会も頂きました。

これからのきもの業界は間違いなく変わっていくと思う深い深い、長く
充実感のあった出張の話。

ちなみに写真に映る線描の附下は本文と全く関係はありませんが、
当店の好みの一点です。

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