帛紗のこと

帛紗のはじまりは古く、高貴な方より拝受、又は差出す場合に直接物を
素手で触れることを非礼であると考え、扇子やきものの袖などをもって、
これを受け渡しされてきました。


この誠に日本的な奥ゆかしさのある動作が、次第に慣習となり教授の
ための布帛として袱紗のかたちになったと考えられます。


時代を経るに従い、日々の暮らしが豊かになり、風俗風習が華美となるに
つれて現在の帛紗と同じような形と経緯して参りました。




今日でもこの慣習は広く受け継がれ、結納をはじめ結婚祝、出産祝、
内祝や年賀、各節句の祝いなど慶事に使うものと、弔亊のときに用いる
種別があり、品物の種類大小により寸法、文様も格式、種別にあった
帛紗を用います。




男物は家帛紗として常にその家自体を代表して用いられ、女物は婚礼の
荷飾り、親族知人へのあいさつまわり、くばり物などに用いられ、
その帛紗によって贈答内容や家柄、家風などを表象されると言われる程、
意味深いものとされています。




このような用途と意味を持つ帛紗は、より精巧なもの豪華なもの、秀れた
意匠性を持つ織物が最高の格式ものと伝承されており、その頂点に綴織で
製織された帛紗が今なお最高のものとして最も多く用いられています。




写真の帛紗は「琳派 観世流水老松文」、長寿を意味し、吉祥のしるしと
される文様は日本人のこころの文様ともいえます。


経糸部分のみを残し、表面にあたるそれぞれの家紋を改めて綴織りで
織り込み完成となるこちらの帛紗は「大帛紗」ともいわれるもので、
経750m㎜×横680m㎜ほどの一番大きな帛紗です。



地域によって用いられ方も様々となり、北海道地方ではあまり浸透度の少ない
帛紗ではありますが、それぞれのご出身や、帛紗文化の根強い地域へお嫁ぎに
なられる方々には今を持っても必要とされている大事な日本の慣習です。


この度は北海道の北見地方でもお得意様からお引き合いがあったために、
この帛紗を実際に確認しながら社員皆で勉強と研修をさせて頂きました。




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