期待通り

出張など旅先での楽しみの一つは夕食。
今回の東京出張では以前から予約が取れず、これまで縁の無かった焼鳥の
名店へ伺うことができた。




目黒白金台「鳥しき」は、JR目黒駅を下車してほんの少し歩いたところの路地に
ひっそりと佇む。
向こう3ヶ月先まで予約が埋まっていることもあるのだとか、今まで何度となく
電話でお願いをしてフラれ続けだったのだが、今回は初めて予約が取れた。




一般的に想像する焼鳥店とは異なり、外観は白無地の暖簾が大きく掛かっている
目立つ看板など無く、店頭地面に小さく灯された「鳥しき」の文字のみ。
一見和食店のような店構え、これには自然と心が弾む。




店内に入るとカウンター席のみの中央に、顎髭を生やした強持ての主人らしき
焼き方が、その迫力ある印象とま全く真逆の低姿勢な応対をしてくれる。


メニューは数種類の焼き物が書いてあるのみのところ、初めての入店のため
お任せのコースを頼むことに。




最初に届けられたのは「かしわ」と「獅子唐」。
程よい甘辛さのタレが効いたかしわはビールとの相性抜群のために
早速生ビールを飲み干してしまうほど美味い。




驚いたのは「白玉と呼ばれるうずらの卵」だ。
表面はしっかりと焼かれているのだが黄身は半熟、そう半熟玉子なのだ。
しかもしつこくないタレが上品さを演出するから、炭火で炙られた香りが
口の中に漂い後味も良い。
フワフワの白身の食感が「白玉」と言われる所以なのか、しかしこんな
鶉の卵は食べたことが無く、驚きなのだ。





その後も「せせり(首肉)」「ハツ」「小玉葱」「ぎんなん」「砂肝」
などが運ばれては胃の中に入っていく。


いつの間にか、飲み物もビールから白ワイン、赤ワインと変わっていく
頃には何とも満足顔で至福のときを過ごしているかのような表情と
なっている。

大将は黙々と満席の客の全ての焼きをこなしているため、若い助手らしき
男性がサブの役割で次々に焼き上がった串をテンポ良く運び、
女将も笑顔が良い。
聞けばここ「鳥しき」での使用する鶏は若鶏でもなく、ブロイラーでも
ない生後100日前後の鶏、銘柄鶏(めいがらとり)。
うーん初めて聞く名前。


さらに話は進む。
地鶏は元々の日本の在来種の掛け合わせなのだが、この鶏はフランスの
ブレス鶏を掛け合わせたもので、養鶏場にお願いをして飼育して
もらっているそうなのだから奥が深い。これが人気店の味を守る
拘りなんだろう。




そろそろストップに差し掛かる頃、〆に選んだのは焼きおにぎり。
遠火でじっくりと焼き上げているからなのか、焼き場に真ん丸の白飯が
乗ってから30分は猶に掛かって焼き上げる。
一緒に頂く鳥スープの上品さにもすっかり魅了されてしまうのです。


料理も旨い、雰囲気も良い、そして接客、そこには超人気店の驕りは
一切感じられない満足感溢れるお店だった。




宿に帰る途中に観た大きな塔よりも、鳥しきの満足感が残った美味しい
夜になったのです。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

●宮川呉服店 オフィシャルホームページ http://www.miyakawa-gofuku.jp
●お問い合わせ info@miyakawa-gofuku.jp

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー