初着


以前にお誂えご納品いたしました一ッ身初着を、お直しのために預からせて
頂きましたお客様の初着です。


今回は許可を得ましてブログにアップさせてもらうことにしました。




お納めした初着は黄色地に見事な手描京友禅であしらえた
「貝桶に、貝合わせ」の意匠。


染元職先は京都、千總製。



地色の黄色は、初着ならではの鮮やかで澄んだ色に染め上げました。



本来、貝合せとは珍しい貝を出し合い、歌を添たりして、その優劣を
競い合う「物合わせ」の一種であったといわれています。



しかし、鎌倉時代には、公家や上流階級の武家などが気軽に普段から
お遊びに用いていたと記述がある他、室町時代以前の貝覆いの遊技方法は
現在には伝えられていません。



時代が上がると貝合わせには、装飾として貝の内側に出貝と地貝とを
一対として源氏絵や花鳥草木などが極彩色で描かれるようになり、
貝を入れる貝桶も豪華なものが作られていきました。



江戸時代になり、貝合わせの道具は調度品として贈答に
もちいられるようになり、蛤は同一の貝しか二枚があわないため、
和合と、婦女の一夫一婦の貞節の象徴となり、嫁入り道具にもなりました。



後には、貝合わせの貝は雛の調度にも加えられることになり、
これらの道具は大名婚礼調度のもっとも重要な道具とされ、
現在は博物館などでその姿を見ることが出来ます。




「貴姫雅優文(きひがゆうもん)」と書かせて頂きました。



貝合わせの道具は大名婚礼調度のもっとも重要な道具とされ、現在は博物館などで
その姿を見ることが出来ます。



伝統美にこだわる所以は、私たち日本人の美意識が永遠であり、
古典美に携わる私共がこれからも伝えていかなければいけない
使命でもあると考えています。




親から子、子から孫とは良く言われますが、本当の古典の美しさは
三代続く以上に、永遠と私たちに受け継がれていくことと思います。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●宮川呉服店 オフィシャルホームページ http://www.miyakawa-gofuku.jp