若冲の軸

7月に入っても北海道はぐずついた気候が続き、今日も朝から雨続き。
湿度が低いのが、せめてもの救いでしょうか。


先日、久しぶりに本店のある実家に戻り経理関係など仕事での打ち合わせを
済ませ、ひと段落しているととこに父親から
「家に若冲の掛け軸があるの見たことあるか?」と一言。


本年は琳派400年と記念の年。
マスコミでも美術館でもこぞって琳派の打ち出しが目立っている。


本阿弥光悦俵屋宗達に強烈に影響を受けた尾形光琳を筆頭に、
光琳に影響をうけた酒井抱一などの作品が代表的だ。


伊藤若冲は卓越した描写力に支えられた独創的な画面として、
江戸中期の京都画壇に旋風を巻き起こし、特に鶏を好んだ若冲は、
生気溢れる鶏図を数多く描いていることで有名。



「本物なの?」と、半信半疑で桐箱から軸を取り出し実家の床に掛け
皆でマジマジと見入ることにする。
保管の悪さから、かなりの劣化がみえる。


しばらく見入っていた後、全員の印象は「それらしいが分からない」との結論。
祖母も呼び出し、手に入れた経緯を聞くことにする。



私の祖母は京都で生まれ、10代に北海道に嫁いで来た。
祖母が宮川呉服店に来たときにはすでに、この軸はあったそうで
私の曾祖父が親戚の「骨董屋から良いものがある」と昭和初期に
譲り受けたそうで、聞けば与謝野蕪村の蓮の軸などもあるとか。



早速、北見に持ち帰り茶道具屋を経営している叔父のところに見てもらい、
いずれにしてもこの劣化のままでは掛けることもできないので京都にて
洗い表装の直しをしてもらうことに。

落款の上には八十一歳画とあり、若冲81歳の際に描いたものなのかを
伺うことができる。


真贋分からぬままというのも、どこか腑に落ちないところがあるのだが、
ひとまず綺麗に、この軸を生き返らすことが受け継いだ者の使命なのかと
思うところでありました。




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