綴なごや帯「雪佳竹犬図」

28日(金)から開催される川島織物展が間近に迫って来ている中、
準備や最終打合せなど、ここの所バタバタしている日が続いています。



本日も川島織物に別注しましたオリジナルの綴名古屋帯のご紹介を
させて頂きます。




綴なごや帯「雪佳竹犬図」


明治から昭和初期にかけて京都の工芸界をリードした、画家であり
工芸図案家でもあります神坂雪佳の装飾絵画から商品製作をいたしました。


明治42〜43年に発表された神坂雪佳の代表的図案集であり、
詩情あふれる画面として描き出されている「百々世草(ももよぐさ)」
から、装飾的に描かれた愛嬌のある犬と蝸牛を織り出しています。



明治時代に活躍しました原画でで描かれている、墨上げの濃淡基調を大事に
綴織りで表現された、面白味ある一筋に出来上がりました。





前柄には竹節のみを大胆に配置して、お太鼓柄の優しい雰囲気とはまた
対照的に力強さを表現しています。


神坂雪佳は、幕末の慶応二(1866)年、式典などを司る御所侍を父に、
京都で生まれました。昭和17年、太平洋戦争のただなかで没した雪佳の
生涯は、日本が長い鎖国から海外へと眼を向け、近代化の道をひた走った
時代と重なります。





仔犬がカタツムリを眺める姿がユーモラスで何ともいえない表現で
琳派中村芳中の『狗子』を彷彿とさせます。



雪佳自身、芳中の『光琳図案』の影響を受けているのともいわれ、
フランスやイギリス、ドイツといった国々の、アール・ヌーヴォーを中心とした
最新の美術工芸運動を現地で調査した経験を持ちながらも、あくまでも伝統的な
日本の美の空間を基盤に、新たな時代の芸術空間を模索しました。





『百々世草』(ももよぐさ)とは、菊の花の別名で第一集の一番初めにも
描かれていて、1909〜10(明治42〜3)年にかけて、上・中・下の3巻が
続けて刊行された神坂雪佳の図案集。


各巻それぞれ20作品を収録、計60作品で構成されて作品は、
やわらかさやユーモアといったものが感じられるものが多く、琳派の流れを
汲みながらも、雪佳独自の世界観のようなものが漂っています。



1901年(明治34年)には、イギリスのグラスゴーで開催されたグラスゴー
国際博覧会 (Glasgow International Exhibition) の視察を目的とし、
世界各地の図案の調査を兼ねて渡欧。



当時のヨーロッパではジャポニスムが流行し、日本美術の影響を受けた
アール・ヌーヴォーが花開いていました。
神坂もそこで日本の優れた装飾芸術を再認識したといわれます。


琳派に傾倒し、デフォルメ、クローズアップ、トリミングを用いた大胆な構図や
たらしこみ」の技法など、琳派の影響を受けながらもモダンで明快な作風が多く
発表されています。





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川島織物展 

Exhibition from Collection Kawashima Tcxtile Museum.Kyoto -

▶ と き : 10月28日(金)〜30日(日)3日間

▶ ところ : パラボ5階 催事場

▶ 観覧料 : 無料

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●宮川呉服店 オフィシャルホームページ http://www.miyakawa-gofuku.jp

●お問い合わせ info@miyakawa-gofuku.jp

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