若松華瑶の袋帯

能装束研究家にして創作図案家、若松華瑶。


西陣織また能装束の世界で、若松華瑶を抜きにして語ることは出来ません。
あふれ出る天賦の才能と能装束に、織物にかける情熱。


「昭和能装束百種」に代表される若松華瑶氏の卓抜したセンスを持ち、
「意匠に困ったり、デザインが浮かんで来ないなんてことはない」と言い切り、
むしろ、「次から次へと湧いてくる図案の整理のほうが難儀する」ほどで、
その圧倒的な華やかさは、現在でも人々を魅了し続けています。


明治に生を受け、昭和を生きたその若松華瑶氏の残した図案は、
二代目若松華瑶(初代のご息女)に受け継がれ、現在もその研鑽された美を
追求し続けています。


この度は、その若松華瑶作の袋帯をご紹介いたします。


若松華瑶作「松寿三桝文」



唐織り独特の風合いながら、軽くしなやかに織り上げられています。
どこかに「能」の匂いを漂わせた斬新な図案な故に、地色と挿し色の絶妙な
バランス感覚は若松華瑶の真骨頂でしょうか。


若松華瑶作「花菱折枝文」



大きな市松取りの中に、桜、紅葉、楓といった四季花と、武田菱を大きく
繋ぎ合わせた逸品です。


こちらも、「松寿三桝文」のように唐織りの深みを追求して、
達磨糸の浮き上がりがこの帯の重厚さを増しています。


若松華瑶作「彩る菱文」



入子菱を鮮やかな色糸で織り上げて、「彩る菱文」と題された表現が
そのまま織り上がりに映し出されています。


若松華瑶作「天平鳥文」



正倉院宝物の古裂中の文様はそれらを基に霞襷の枠中に二種の鳥形と蜂、
花を段に配して、天平の風趣を現代に生かした意匠です。


先にご紹介した唐織りとは趣が違い、箔上で織り上げられた品はとても触りの良い
驚くほど軽く織り上げられています。



ご機会がございましたら、是非一度店頭にてご覧にいらして下さい。




【 若松華瑤プロフィール 】  

明治28年 京都市に生まれる
明治43年 西陣織物業「山岸重助商店」入社

大正12年 西陣織物業「若松清一商店」開店

昭和5年  第一次能装束研究会を興す
昭和33年 行司装束第1号を制作、木村庄之助氏に贈呈
昭和38年 世阿弥誕生600年を記念して昭和能装束前期50作の制作開始
昭和39年 ニューヨーク世界博覧会に展示出品
昭和41年 昭和能装束後期50作制作開始
昭和42年 昭和能装束前期50作完成、京都市美術館にて展覧
昭和49年 昭和能装束後期50作完成、「昭和能装束百種」完成
     一般公開を前に急逝、享年78歳
     京都市美術館にて「若松華瑤遺作昭和能装束百種展」開催






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

●宮川呉服店 オフィシャルホームページ http://www.miyakawa-gofuku.jp

●お問い合わせ info@miyakawa-gofuku.jp